気づけばキミと恋に落ちて

ぶつかった相手が、拓篤…だった。


「てか、陽美。泣いてる？」


拓篤の言葉に、ハッとして差し出された手を握ることなく、サッと立ち上がった。


「……泣いてませんっ。わたし、急いでるので失礼しますっ」


軽く頭を下げ、走りだそうとした、わたしの腕をガッシリと拓篤に掴まれた。


「待て」
「……っ、わたしホントに急いでるのっ。だから、離し、」
「ヤダ」


ヤダ、って…。わたしだって、ヤダよ‼︎


ただでさえ、宗ちゃんのことで頭がいっぱいなのに、こんなとこで拓篤に捕まったら、どうにかなっちゃうよ…。


「ちょっと来い」
「えっ？どこに、って‼︎拓篤っ、わたし帰るっ‼︎」


強めに引っ張られ、止まろうとしたけど、全然止まってくれなくて…もう、諦めて付いてくしかなかった。