気づけばキミと恋に落ちて
オトコは壁に身体をぶつけたのか、「イッテェ……」という声が聞こえた。


今のうちに、と走って部屋へ行くも、手が震えて鍵がうまくささらない。


「おい、テメェ…」
「……っ、」


その間に来てしまったオトコに、悲鳴にならない声が出る。


手が伸びてきて、とっさにそれを避けると部屋に入ることは諦め、廊下を走った。


何度も来たことがあるから、わかる。


廊下の数箇所に電話が置いてあって、受話器を取ればフロントに直接繋がる。


それを目がけて走ると、電話が見えてきて受話器を取った。


『はい、フロントです。なにか、ございましたか?』
「あのっ、助けてくださいっ‼︎変な酔っ払いに…やっ、」
『お客様っ⁉︎』


事情を説明している最中に、思いきり腕を掴まれて、手から受話器が落ちた。


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