気づけばキミと恋に落ちて
あ、笑ってる。さっきも笑ったけど、アレは作り笑いぽかった。


でも、今笑ってるこの顔は心の底からではないかもしれないけど、ホンモノの笑顔だと思う。


「なに、またオレの顔ジッと見て。今度は惚れるだけじゃなくて、キスでもしたくなったか?」
「は、はぁっ⁉︎な、なに言ってるんですか⁉︎どうしてわたしが、あなたにそんな感情を持たないといけないんですかっ。わざわざ送ってくださって、ありがとうございました。もう二度と会うことはないと思います。さようなら」


やっぱりこのオトコは、ただのタラシだっ。


ちょっとイケメンだからって、オンナがすぐ惚れるって思い込んでる‼︎


いや、実際電車で見惚れてたのは事実だけどもさ…。


でも、ゼッタイ誠実な人だと思ってたの。


こんなオトコだと知っていたら、最初から気にもなってない。


〝さようなら〟と告げ、アパートに向かって歩き出した、わたしの腕をオトコが軽く掴んだ。


「ちょ、なんですか?放してくださいっ」
「お前、名前は?」
「は?あの、聞こえませんでした?わたし、もうあなたに会うつもりないんですけど?」


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