愛しい人
ボイス

入社2年目にして晴れて事務職へと異動となった。


確かに面接の時、配属先について訊かれ「事務職希望ですが、現場経験があった方が幅広く仕事を理解することができると思いますので……」とは言った。


だけど、それは立て前というか、面接でのお決まりの文句というか。


それなのに、いざ入社してみると同期の女子ではただ1人、配属先は現場。


地味な作業着に帽子といった出で立ちでの梱包作業が私の最初の配属先だった。


せっかく無理を言って東京の短大に行かせてもらい、そのまま地元には帰らず就職をと思ったが、現実はそんなにあまくなくて、危うく就職浪人しかけたところを父親のツテで今の会社を受けることができたのだ。


「理沙ちゃん、良かったね。これからはお昼も一緒できるね」


総務の人に連れてこられ、事務所というフロアに圧倒されていた私に同期の二ノ宮 真澄が嬉しそうに声をかけてきてくれた。


< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

本当に欲しかったのは……

総文字数/998

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop