払いすぎた年金
僕は溜め息をついた。
「どうしてこの世は思い通りにならないのでしょう。
ハア…僕はなんて不自由なんだ」


役人は、善人の魂を天国へ送った。
「天国で永遠に暮らしたい人もいるのに、全く贅沢なことで…
解脱も詰まらぬもののようじゃ」

役人は、もう何千年もデスクの飾りになっている冠をなぜた。
ここ数十年のIT化で、激務にイライラしながら死者の選別をする必要はなくなった。

三途の川に地下トンネルが掘られてから、渡し守は不定期運行のワンマン列車の車掌だ。
生あくびを噛み殺した渡し守の様子を、監視モニターで確認すると、最初の死者である閻魔は、古い帳簿のデータ入力を再開した。

たまに善神悪神かかわらず、勝手に天国や地獄の魂を持ち出すので、帳簿の数字は現実と違っている。
しかし、帳簿をきちんとできた暁に、データの矛盾を突き、神々の宝物庫を強制捜査する日を考えると、今から心ウキウキするのだった。

どっとはらい
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