払いすぎた年金
僕は質問した。

「あの…保険料って?
ここは天国なんですか?」

「ここは窓口でして。
査定を行うのです。

昔は閻魔庁などと呼ばれましたが、今は只の保険窓口ですよ。

で、梶本さんですが、特養ホームでの常世暮らし十分出来ますよ。
素晴らしい功徳です」

役人は目を細めた。
「そうですか…
でも、僕が突然死んで、みな困っていると思うのです」

「ふむ、遺族年金の支給を望まれますか。
では、現世を見てみましょう」

役人はパソコンに何やら打ち込んだ。
「…あれま、残念。
遺族年金の支給はできません。

ご覧なさい。
奥様は浮気相手とバカンスだ」

僕は、役人が向けたモニタに食いついた。

「…お友達も、あなたに拘りはないようですねぇ

職場の方は…これは酷い。
あなたの業績を我が物にしましたね」

僕は呆然とした。
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