払いすぎた年金
「うへえ…」
「ましてや彼らは、閉じ込められた我々死者なんか、生き物だとは思ってやしません」

「確かに死者は生き物じゃないけど。
死んでまで不自由なのは、なんか期待はずれですね…」

“オレは自由になりたいんだ”

ふと、バイク事故で死んだ兄を思い出した。

兄は、いわゆる不良で、僕が八歳の時に盗んだバイクで事故を起こして死んだ。

とんでもないいじめっ子で、いつも、兄の同級生の誰かが泣いていた。
よく『親が悪い』『オレのせいじゃない』と、取り付く島がなかった。

「兄の生命保険って、なんですか?」
僕は尋ねた。

自分勝手の極致の兄が僕に遺したもの…?
< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop