払いすぎた年金
僕は僕がこうなった理由を思い出した。

いつもの営業まわり、飛び出してきたドラ猫。
薄れゆく意識の中、頭のあたりをウロウロ、ニャーニャー鳴いていた…

「勿論、猫になるとだいぶお釣りがありますから。
それをお兄様は景気よく全額あなたの保険料にされました。

三途の川の渡し賃から何から、この世は金次第と身に染みたのでしょう」
両親はお人好しだったし、世の中が充分には解っていない中学生の善悪では、やんちゃ盛りの弟が心配だったろう。

「そうだ、僕が死ぬ原因になった、兄は…いや、あの猫は大丈夫なのでしょうか」
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