鬼上司と私のヒミツの関係
気持ちがグラグラしそうになった時とか、机の中に忍ばせている指輪の入ったお守り袋を握りしめ『私が響ちゃんの奥さんなの』って心の中で呟いてた。
「うん、それはそうだけど……。私も本当は響ちゃんの奥さんだってみんなに言いたい。でもホントにいいの?仕事のデキない私が奥さんだってことをバラしたら響ちゃん何か言われたりしない?」
響ちゃんに迷惑をかけることだけはしたくないとずっと思っていた。
やっぱり好きな人の足手まといにだけはなりたくないから。
「バカだな、そんなことは心配しなくていいよ。それに沙耶は仕事がデキない訳じゃない。要領が悪いのとおっちょこちょいなだけだし。基本、やれば出来る子だろ?」
ポンポンと私の頭に手をのせる。
響ちゃんはプライベートではとことん私を甘やかす。
仕事では鬼部長っぷりを発揮するくせに。
でも、このギャップがたまらないんだよね。
響ちゃんが心配しなくてもいいって言ってくれるんなら……。
「じゃあ、来週の月曜から指輪していこうかな」
左手を目線の高さまであげてじっと見つめた。