鬼上司と私のヒミツの関係
ドクン、と胸が高鳴った。
何だ、この気持ちは。
言い様のない感情が押し寄せる。
自惚れかも知れないが、森本の言葉の端々に勘違いしてしまいそうなフレーズが散りばめられている。
それに、俺のことが好きだと目で訴えかけてる気がする。
そんな訳ないよな、と感情をコントロールしつつ慎重に口を開いた。
「初めは手の掛かる新入社員だと思っていた」
俺の言葉に森本は「そうですか」と小さく呟き目を伏せた。
おいおい、まだ話は終わっていないぞ。
ちゃんと最後まで聞けよとばかりに言葉を続ける。
「俺が名前を呼ぶ度に身体をビクつかせるから嫌われているんじゃないかと……」
「そんなことないですっ」
顔をあげ俺の言葉を遮り慌てて大声で否定した。
「いつの間にか森本のことを目で追うようになり、またミスするんじゃないかとヒヤヒヤしてた」
「うっ……」
何か惨めです、と瞳を潤ませる。