鬼上司と私のヒミツの関係
ギョッとした顔で、沙耶はTシャツの上から俺の腕を掴み、必死にそれ以上の侵入を阻止している。
これはもうキスどころではないか、と諦めて唇を解放し、手を抜いた。
「響ちゃ、ん。何、しようとしてたの?」
荒い息のまま、起き上がりジロリと俺を睨んでくる。
まぁ、沙耶に睨まれても全く怖くないんだが。
「何って沙耶の胸を揉もうとしたんだけど」
悪びれることなく言い放つと
「響ちゃんのバカッ、エッチ。何もこんなところでしなくても……」
プイッと口を尖らせそっぽを向く。
何で怒っているんだ?
別に今のは自然な流れだったろ。
「バカはないだろ。エッチなのは否定しないが、ってこっち向けよ。そんな怒らなくてもいいだろ。なぁ、沙耶……」
「響ちゃんはズルイ!私がその声に弱いの知っててわざと言うんだからっ」
ズルイズルイと喚き散らす。
全く、このお姫さんは……。
ん?
こんなところでしなくてもって言ってたよな?
ということは、リビングじゃなきゃいいってことか。
暴れる沙耶を抱き上げ、寝室に向かった。