いろつきのせかい
きゅっと握られた手に弱い力がかかって。

彩音ちゃんは口を開いた。

「ねえ、あんたって全部が綺麗な色なの?」

「わかんないよ。ぼく、色が見えないんだから」

「じゃあ、試させてよ」

そう言うとぼくの手を掴んだまま立ち上がる。

……彩音ちゃんのほうが少し背が高かった。

少しムッとする。

そしてそのまま彩音ちゃんの顔がぼくの方に近づいて。
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