朧月夜
Ⅳ
“今までありがとう”
私の前から
出ていくのを
ためらってる
あなたにまた
笑いかけてる
馬鹿だね私も
あなたが他のひとを
抱き締めるなんて
想像しただけで
胃がひきつって仕方ないのに
素直にそんな気持ちが
言えないの
“幸せになってね”
泣きたくないから
早く行ってよ
あのひとのところへ
“ごめんな……”
小さく呟いたあなた
“俺自分の気持ちに嘘はつけない”
“うん知ってる”
そんなあなただから
好きだった