このよでただ、独りだけ
「せっかく愛らしいんだから、あまり怒るものじゃないよ。可愛い娘」

「私を、家に帰してください」

ヒースコートの飄々とした態度に追い詰められたアレクシアはそれだけを絞り出すように言った。

ヒースコートはアレクシアの提案に少し考えるような素振りをしてから渋々といった様子で頷いた。

「仕方ないね、可愛い娘。本当ならば俺の弟子か何かに迎えてあげたいものだけど。君はそれを拒むだろうし。ほら、おいで。連れてってあげよう」

アレクシアは警戒を解かないままじりじりとヒースコートに近付く。

近付いてきたアレクシアの腕を掴んでこちらに引き寄せたヒースコートはにやりと妖艶に微笑んだ。
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