このよでただ、独りだけ
その洞穴は記憶に残っている姿そのものの状態で残っていた。

ヒースコートのいた痕跡なんかはもちろん何一つ残っていなかったけれど。

アレクシアは気まぐれにそこで夜を明かすことにした。

もう、あのように幼くはないし。

今は秋、過ごしやすい良い陽気である。

記憶通りに焚き火をし、寝袋の中に潜り込む。

この場所で目を閉じると彼の声が聞こえてきそうだった。

不愉快な猫撫で声が。
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