このよでただ、独りだけ
「可愛い娘、ねぇ」

ヒースコートはそれを本心で言っていたのだろうか。

いや、十中八九冗談やからかいの類なんだろうけど。

最後の彼の言葉だけは冗談に聞こえなかったのだ。

ヒースコートは孤高を愛する吸血鬼だと吸血鬼狩りは言っていた。

人間の中に混じって住むことを夢見て、吸血衝動に襲われてそれを諦める。

吸血鬼らしからぬ外見のせいで同胞たちとも上手くやることができない。

一人ぼっちを嫌というほど経験したアレクシアはヒースコートの気持ちをほんの少しだけ理解できるような気がしていた。
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