浮気の定義。
「よくもまあ彼女の目の前であんなことできるわよね。あんたの彼氏も、あの女も」
きつく咎めるような口調だった。
そうだよ。
そう思うのが、普通なんだ。
平然と浮気を繰り返す流生は、やっぱりおかしい。
「彩音。あんた、ああいう女どもに自分がなんて言われてるか知ってる?
“お飾り彼女”――そう揶揄されてるのよ」
「……知ってる」
私は流生を怒鳴りに行くため、席を立った。
「あんな男、別れた方が彩音の身のためなのに」
梨花子のお決まりの言葉は、聞こえないフリをした。