浮気の定義。
「ああ、“彼女”の槙原さん。るぅくんに、何か用ですか?」
わざとらしく“彼女”の部分を強調して、流生の隣にいた女子生徒は私と流生の間に躍り出てきた。
「るぅくん?」
しかも。
るぅくんって、なに。
「ああ。流生くんのことですよ。流生って書いて、るうって読めるでしょ?だから、私だけのあだ名として呼んでるんです。ね、るぅくん」
可愛らしく流生に同意を求める姿は、異性にはたまらない姿だろう。
でも、私からすればあざといだけ。
流生は空気を読まず、朗らかに「うん」と頷いた。
あんたは!
誰の彼氏なんだよ、誰の!!