浮気の定義。
この修羅場をまったくもって把握してないような顔には苛立ちが募るけど、流生の答えは最高だ。
ほら。
女子生徒の、信じられないといった表情。
流生は最低の浮気野郎だけど、「好き」という言葉は私以外には使わない。
分かっていたから、今ここで、あえて言わせるように仕向けた。
「るぅくん!嫌なら嫌って、はっきり言えばいいんだよ!?その女に縛られる必要なんてない!」
「その女って……彩だよ。俺の彼女。俺は、別に彩に縛られてるわけじゃないよ」
「嘘!!」
その自信はどこからくるのか。
そんなわけないと断言した彼女に、ぜひとも問いただしたい。
「その女にしつこく言われて、仕方なく付き合ってるだけでしょ!?るぅくんは、優しすぎるから!」
そう。
流生は、優しい。
でもその優しさは、私に向けられたものなんかじゃない。