しあわせ

ノート貸して?

その日、怖くて怖くて右隣のヤンキー君を見れなかった。
左?左は窓。周りはみんな男子。
怖いよこの席。なんでこんなになったかなぁー。
後ろから三番目とか、喜んだ自分が愚かだった。
午前中恐怖と戦いながら授業をうけた。
休み時間に、もえが
「さくらどんまいやん。周り男ばっかりだし、隣は怖いし。一ヶ月がんばってね。」
って言ってきた。そんなもえは、周りは女子で、もう一人仲のいいりさと隣の席になったらしい。
昼休みは、私の愚痴で終わって、午後の授業が始まった。
隣を見ると、
「あれ、いない。」
ヤンキー君はいなかった。よかった!
と思って午後の授業をうけていた。
そして、一日も終わり、そしてまた一日が始まった。
一時間は、物理だった。
昨日の六時間目もあったし、ほんとなにやってるかわからない教科の一つ。
先生が「今日の欠席は?」と聞くと
「宮川と、浦です。」といつもの様に男子が答える。
「あれ、今日は中村来てるの?」
ん?中村って誰?と思ったとき隣のヤンキー君が、
「今日は俺きてますよー!」
って言った。中村って言うんだ!初めて知った。
男子とあんまり関わりなかったし、全然名前を覚えてなかったから、知らなかった。
「おい、中村。お前昨日のノート誰かに貸してもらって写せよ。」
「わかりましたー。」
そんな会話を先生と、中村君はしてた。
眠気と戦って物理がやっと終わったー!って、思ってたら、
「ねぇ。」
って聞こえた。え、誰?と思って見てみると、それは、中村君だった。
「え、な、何?」
「物理のノート貸して?俺の周り男ばっかりだし字汚くて読めない。ってか、みんなノートとってないから。」
あの中村君に私話しかけられた、、、と思いながらも、
「わかった、いいよ。」
と答えて貸してしまった。
「ありがと。」
と言った顔は、すっごく笑顔で、不覚にも、こんな顔するんだ、と思ってしまった。
それが、私とあいつの始まり。
今思えば、この時私の人生は、変わったのかもしれない。


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