硝子の靴に口付けを
そして私は今日も夢をみる。
気付いたら闇の世界に戻っていて、だんだんと闇が薄らいでいくのが分かった。
夢から覚める時は、いつも底知れない虚無感・虚脱感に襲われる。
(今日は幸せな夢だった。)
夢にあの人が出てきて、優しく肩を抱いてくれた。
それだけだけれど、凄い幸せで
それだけだけれど、凄い哀しかった。
夢は叶えるものだと誰かがいった。
でもそれはあくまで、自分の力が及ぶ範囲の話で。
叶えることさえかなわない、この私の夢の破片。
破片は光を反射し、色を変え、様々な夢を私に与える。
分かっているんです、叶わないことくらい。
知っているんです、どうしようもないことくらい。
だからせめて想うくらいは許してください。
この想いこそが私の生きる糧だから。
たとえそこに残るのが虚無だけだとしても。
私を抱き寄せた幻想は、私の心を温めるから。
今日も柔らかなシーツにくるまり、
今日も瞼の裏に貴方を呼んで、
そして今日も私は夢をみる。