Fanfare


倉庫の中は男とバイクの群れだった。


「何これ」


「しゃべんなって…」


そう言いながら徹はなんの説明も無しで倉庫の奥にグイグイ私を引っ張って連れて行く。


奥に行けば行く程に男の人は増えて「こんばんはッス」「お帰りなさい」「徹さん彼女ッスカ?」声をかけてくる人も増えた。


それなのに徹は返事もしないし声かけてくる人を見ようともしないで歩き続ける。


それどころか階段を登り更に奥に行こうとする。


すると緑の髪をした一人の男の人が


「徹さん。誰ッスカ?その女。」


私を指差した。


私がチラッと徹を見ると徹は眉間にしわを寄せながら緑の男の人を睨み付けていた。


「…徹」


「おい。お前誰に指差してんだ?あぁん?」


徹がキレていた。


「す…すいませんでしたっっっ」


私はずっと徹と一緒にいたがこんな姿を見たのは初めてで


「指差されるくらいなんともないわ」


慌ててフォローをいれた。


そこからは誰も話しかけてくる人はいなくて
スムーズに2階の一番端にあった扉の前にたどり着いた。


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