Fanfare
「入んぞ。」
徹は何の躊躇もなく扉の中に入る。
「っ…」
知らない部屋に入るのを好まない私は少し反応が遅れて
手を引かれた反動で半場転ぶ様に部屋に入った。
そして体勢を直そうと顔を上げた瞬間…
ドキッ
時が止まった様な気がした。
それは大きな部屋の中の中央にドンと置かれた黒のソファーに座る男と目が合ったから。
それからその男の顔が驚く程綺麗だったから。
何十分見つめ合ってたのだろう…
本当は何秒なんだろうけど私には何十分に感じられた。
「おい。」
止まっていた時は徹が動かした。
私はハッとして徹の顔を見た。
徹は少し眉毛を垂らした情けない顔をでサングラスを拾った。
どうやら入る時に落としてしまった様だ。
私がありがとうって意味を込めて頷きながならサングラスを受けとると
「あぁ…」
と一言言い部屋の奥に進む。
「て…「おい。」
私の問いかけに被せる様に発せられた声は私のでも徹のでもないつまり…
「どうゆう事か説明しろ徹。」
黒いソファーにすわる彼のものだった。