Fanfare
「こいつは旭 めい(あさひ)。俺の友達。17だったかな?」
指を差された旭 めいは少しムッとしていたが徹は気にせず続けた。
「んでこっちが俺の幼馴染みの深霧 いと(ふかぎり)。同じ学年だけどまだ16。」
私は旭 銘生を見ない様にしながら頭を下げた。
徹はそんな私の頭を撫でながら
「こいつが見回りしてたら繁華街で知らない男に絡まれてたから報告しに来た。」
とここに来た経緯を旭 めいに説明していた。
絡まれてた…か。
私から誘ったなんて旭 めいは思わないんだろうな。
なんて考えていると報告とやらは終わったらしく
「んじゃ帰るわ。」
と徹ソファーから立ち上がり「ちょっとトイレ外で待ってて」と部屋の奥に消えて行ってしまった。
私は徹に言われた通り外に出ようと扉に向かって歩いた。
「おい。」
背後から旭 めいの声が聞こえた。
1回は無視しようと思ったがドアノブを回した辺りで旭 めいが気になり振り向いてしまった。
するとこちらを見ていた旭 銘生はフッと笑いながら「またな」と言って手を上げた。
私はもう二度と会う事はないのに…と心の中で思いながら
「お邪魔しました」
とだけ言って出てきた。