帰ってきたライオン
からの、二人とも大吉を引き当てた。
あれから昼過ぎまでこたつに入り、言葉を発することなく無言で冷えた体を温めていた。
が、昼も回ればお腹もすく。
ひとまず茶を飲もうということになり、台所へ行き茶を沸かす。
が、なぜかそこには私もいる。
お互いにとりあえず一人になるのは怖いという感じから、この狭い家の中でも一人行動は避けようね気配が自然と漂った。
よって、どこへ行くにも腰ぎんちゃくみたいに引っ付く形となった。
結果怖さは減少し、時間の経過と共に心も穏やかになった。
そこで、遅ればせながら初詣に行こうという話に至り、今現在、近所の神社に二人でいるわけだ。
新年早々どんより曇天模様な空気に浸ったわけなので、神様もちゃんと見ていてくれたのだろう。
御神籤くらいはいいものをひかせてやろうといったところか。
いくばくか心の曇りも晴れていき、晴天な空同じく心の中のもやもやも波が引くようにするりと消えていった。
「成田さん、ちょっとあれ、屋台でなんか食べてきませんか」
「いいね、久しぶりにいろいろ見たい」
「俺もです。こうやって屋台のあるところに行くのすごい久しぶりだから楽しくなりますよね」
「久しぶりなの?」
「え?」
「え?」
久しぶりなんだ。
去年の夏とか秋とか祭りの時って誰かと一緒に行ったりしなかったのかな。
私はもちろんのこと一人。いや、そこには上田さんがいたな。
上田さんもまたなんだかんだ言ってフリーだから、とりあえずのイベントは一緒に出歩いている。
そう、なんだかんだ一緒にいるんだなって今更ながらに思った。
がだ、松田氏に至ってはフリーってことはないだろう。
この前だってあんだけモテてたんだし、彼女の一人や二人いただろうに。
ちょっと待て、なんで私こんなに気になってるんだ。
横から松田氏の視線がひしひしと感じるが、目、合わせるのなんか恥ずかしいな。
私、変なこと聞いちゃったっぽいなどうしよう。
発した言葉は帰ってこないし、くっそ、やばめだな。とひとまず両手の指先をせわしなく動かしてみた。