帰ってきたライオン
珍客からの置き土産
頃は、風もやや滑らかに暖かく、瑞々しい木々の枝には小さな桃色の花が実付き、青臭い匂いの中に甘酸っぱい匂い沸き立たせる花吹雪のちょっと前。
世間は日差しにつられ心も暖かくなり始め、ようやく長き冬から目覚めた熊が巣穴から外へ這い出してくる頃合いになった矢先のこと。
リラックスして無防備なときに限って物語は走り出す。
羊君を尋ねて三千里ごとく、珍客が舞い込んで来たわけだ。