~Special Short Story~



「描いたよな?」


「ふ、2人の未来を」


「バカなこと言ってんな、このやろー」


そして、中園は佐々木から逃げ出した。


「待て!中園!……いや、待てよ。全員絵描いたよな?」


中園を追いかけようとした佐々木が、他の奴らをジロッと眺める。その瞬間、全員ダッシュ。


「ちょっ、お前ら待たんかー!」


俺と白石もスケッチブックと筆記用具を持って、みんなの波に紛れて佐々木から逃げた。






「はぁっ、はぁっ……」


旧校舎の外階段。佐々木から逃げた俺と白石は、階段に腰を下ろした。


「みんな、俺達のことより自分の課題ちゃんとしろよな」


「本当だよっ。ふふっ、笑っちゃった!」


みんなからもらった折り紙の花を眺めながら白石が言う。


「あ、そうだ、白石」


「ん?」


俺は自分のスケッチブックを開いて、ある絵を白石に見せた。


「えっ、これって……」


「コレ、白石が来た時に描いてた絵」


俺は、軒下で大の字で寝転がる白石の絵を描いていたのだ。



< 100 / 152 >

この作品をシェア

pagetop