~Special Short Story~
「描いたよな?」
「ふ、2人の未来を」
「バカなこと言ってんな、このやろー」
そして、中園は佐々木から逃げ出した。
「待て!中園!……いや、待てよ。全員絵描いたよな?」
中園を追いかけようとした佐々木が、他の奴らをジロッと眺める。その瞬間、全員ダッシュ。
「ちょっ、お前ら待たんかー!」
俺と白石もスケッチブックと筆記用具を持って、みんなの波に紛れて佐々木から逃げた。
「はぁっ、はぁっ……」
旧校舎の外階段。佐々木から逃げた俺と白石は、階段に腰を下ろした。
「みんな、俺達のことより自分の課題ちゃんとしろよな」
「本当だよっ。ふふっ、笑っちゃった!」
みんなからもらった折り紙の花を眺めながら白石が言う。
「あ、そうだ、白石」
「ん?」
俺は自分のスケッチブックを開いて、ある絵を白石に見せた。
「えっ、これって……」
「コレ、白石が来た時に描いてた絵」
俺は、軒下で大の字で寝転がる白石の絵を描いていたのだ。