~Special Short Story~
「ごめんっ。やっぱり」
「ありがとうございます」
私の手から3枚の絆創膏を受け取った星村くんは、そう言って駆け出した。
なんだろう。昨日よりも、初めて手紙をもらった時よりも、胸がドキドキしてる。くるっと向き直って大学へ向かいながら、渡された封筒の中身を見た。
─────昨日、友達と競争をしていたらハデにコケました。
あの傷はそういうことだったんだね。ふふっ、そんなことでも教えてくれるって可愛いとこあるじゃん。
ていうか、この3日間バスに乗ってたってことはバス通なのかな?
…………あれ?
あのバス、高校前で停車するのに、星村くんはいつも私と同じところで降りてる……よね?手紙を渡すためだけに、わざわざ私と同じところで降りてるの?
─────明莉に気があるんじゃない?
弥生の言葉が頭を過る。私は少しだけ振り返って、星村くんが走って行った歩道を見つめた。
「まさか……ね」
でも、それ以外に理由がない。
自惚れそうだけど、星村くんは私のことを……?