~Special Short Story~
「でも、いつの間にかあのうるさい先輩が気になっちゃって……」
片思いが実るはずだったのに。
こんな……香山先輩と出会わなければ目黒くんの告白も受け入れられたのに。
「もういいよ」
目黒くんが言った。
「あーあ、惜しかったんだな。もう少し早く告白しとけばよかった。慎重になりすぎたな」
ハニカミながら笑う目黒くん。
「あたしもだよ。惜しいことしちゃった」
追い出したはずの香山先輩がゆっくり歩いてくる。
「お邪魔みたいだから、俺行くわ」
目黒くんの言葉にあたしは苦笑する。
「また、サッカー部の練習見に来いよ!」
さよなら、あたしの片思い。
さよなら、秘かに実っていたあたしの恋。
「お前、顔ニヤけすぎ」
あたしの頭をベシッと頭を叩くのは、香山先輩。
「だって、知らぬ間に目黒くんと両思いだったなんて、あ~もう少し早く勇気出しておけばよかった!」
「俺は気づいてたけどな。目黒がお前狙いって」
な、なんですと!?