~Special Short Story~
「だから、お前と目黒がくっつかねーようにサッカー部の練習見てたんだっつーの」
「まったまたー。先輩が見てたのは矢城先輩でしょう?あたし知ってるんですからねっ」
フラれた相手を忘れられず、いつまでも目で追い続けていたくせに。
「ぶはっ。それさ、嘘」
「え?」
香山先輩の言葉にきょとんとするあたし。
「だから、俺は矢城のことなんて好きじゃねーってこと」
「は!?だって、前フラれたって」
「詳しく言うと逆だな。矢城から告られたことはある。断ったけどな」
まさかの事実がボンボン出てくる。
「なんでそんな嘘ついたんですか!?」
香山先輩の本当がわからなくなってきた。もしかしたら、あの告白も嘘だったのかも?
「お前に、俺のことを気にかけてほしかった」
あたしに?
「生徒手帳を拾った時は、目黒への恋心のページを見て、超重そうな奴としか思ってなかった」
最悪な印象だったんですねー。
「だけど、お前のことを見るようになって、悪い奴じゃないって思えて、うん……気になって」
あ、香山先輩が目をそらした。照れてるのかな?