～Special Short Story～

白のタキシード、だ。


いつだったかな。麻央とドライブした時に、こんな話になったんだ。


『今日さ、友達と雑誌見てて、ウエディングの特集のページがあったんだけど』


『麻央ってば、もう俺との結婚を考えてくれてんの！？』


『は？違うから』


ですよね。


『……で、白のタキシード着た人載ってたんだけどさ』


『なに！カッコ良かったの！？』


『うん。そりゃモデルだし』


くそう。麻央にカッコイイなんて思われたモデルは、どこのどいつだ！


『友達はさ、こういう場所でならタキシードはカッコイイけど、自分の家に着て来られたら相当引くよねーって言ってたんだ』


俺もそれは思うけど？だって、街中をタキシードだよ？ぜってー恥ずかしい。でも、麻央は予想外の言葉を口にした。


『でもさ、あたしは引く意味が分かんない。だってさ、恥ずかしい思いをしてまでタキシード着て、自分に会いに来てくれるとか、バカに出来ないじゃん？フツーにカッコイイし』


その言葉で俺は決めたんだ。


タキシードで麻央に会いに行くって。