~Special Short Story~
麻央の一言で即決める俺って超単純だけど、それくらい麻央にカッコイイとこ見せたくて。
麻央に俺のことを見てもらいたくて。ちゃんと惚れて欲しくて。
そんなことを考えながらタキシードに袖を通す。このタキシードはもちろんレンタル。さすがに購入までは俺も抵抗があったしな。
「あれ?俺案外似合う?」
一応レンタル前に試着はしたけど、俺って結構イケる!?こんなこと言ったら、自画自賛だ って麻央に冷たく言われそう。まず、タキシード姿見た時点で冷たい目されたらどうしよう。
今更だけど……かなり不安だ。もしこれで麻央に嫌われてみろ。もしかしたら今日、別れ話とかされたりして……?
「…………」
無言で、鏡に映るタキシード姿の自分を見つめる。
……やっぱりやめようかな、この格好。
麻央の笑顔は見たいけど、嫌がる顔は見たくない。でも……
─────引く意味が分かんない。フツーにカッコイイじゃん。
あの言葉を、麻央を信じよう。