~Special Short Story~



「あっ!お前、バカ……」


「先輩のも消えましたね」


「誰のせいだと思ってんだよ」


ちょっと怒らせちゃったかな。でも、その顔も素敵。


「はい」


新しい線香花火を取り出した内田先輩。その内の1本をあたしにくれた。


「先輩、勝負しません?」


「またズルすんだろ」


「しませんっ。そうですね、長く残った方の言う事を聞くとか」


「おーそりゃありがてぇ。俺が勝ったら今後俺に近づくなって言ってやるよ」


な、なんですと!?これは、絶対勝たなくちゃ!


そして、始まった線香花火対決。


「頑張れ頑張れあたしっ。負けるな負けるなあたしっ」


小声で応援するあたし。


「お前、もう少し静かにやれ」


「だって、負けたくないですもん!」


内田先輩に近づけないなんて無理!


だって、もうすぐ夏休みが終わるし、内田先輩と会えなくなる。だから、この勝負に勝って、お付き合いの方向へ持っていきたいもん!



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