~Special Short Story~
そして線香花火を見つめていると、
「「あっ」」
あたしの灯りが消えた。でも、同時に内田先輩の灯りも消えていた。
「引き分けの時の条件、考えていませんでしたね」
夕日が沈んだ空の下。
内田先輩と付き合うことも、内田先輩に近づくことを拒まれることもなく、先輩達との花火は終わった。
それが最後とでもいうように、内田先輩達は姿を見せなくなり、あたしも夏休みが終わるということで海の家へ行かなくなった。
そして迎えた2学期。
「夏休み~カムバック~!」
新学期が始まってしまった。あたしは、自分の席に顔を伏せて嘆く。
「海の家のカッコイイ先輩に出会えたんでしょ?」
友達のリエがあたしの頭を小突く。彼女には、電話をしたりLINEで内田先輩のことを報告していたのだ。
「会えたから、これから会えなくなって辛いんだよ~!」
「でも、毎年海に来てたんでしょ?この恋は来年に持ち越しになりそうね」
来年なんて遠過ぎるよ~。