恐怖日記
気がつけば、時計の針は午前一時を指していた。
トッラクの外から見えるのは、闇の中に浮かびあがるうっそうとした林だった。

そこは、どうやら田舎だったらしい―――。

暗いな・・・。

そこは、本当にすべてを闇に飲まれたようだった。
聞こえてくるのは、遠くから聞こえる微かな車の走り行く音。
それが、まだ自分たちの世界と離れたような、そんな錯覚を覚えさせた。

そこは、まるで―――僕たちの世界とは違う世界―――異世界のような―――そこには異様な空気が漂っていた。

「着くぞ」

そのとき、父の声が響く。
外に集中していた、僕と弟を元の世界へと戻してくれた。

フロントガラスに目をやると、大きい建物がポツンとあった。
傍目から見ると、まるで廃屋のようだ。

だが、その廃屋からは微かに光が漏れている。
少しだけ、その光が僕たちの心を安心させてくれた。

ブルルルルル・シュー・・・。

その建物の前まで来ると父はトッラクをそこに停車させる。

「待ってろ」

父はそう言うと、トッラクから一人降りてしまう。
よく見ると、若い男性二人がその建物内にいたのを見て、ホッとしたのを覚えている。

「・・・僕たちも降りようか?」
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