放課後は図書室で甘い時間を


教室移動の時が忘れられなくて、1限目の授業は全く集中出来なかった。


あれから日向と廊下ですれ違う事はなく、昼休みを迎えた。


「ねぇ、めいちゃん。」

「…今度は何よ。」


手鏡をもって、髪型を整えているめいちゃんに私は話しかけた。


「あのさ、日向……何か今日の日向…変じゃない…?」

「はぁぁぁ?!何で私に聞くのよ。榎本先生をよく知ってる人物が、彼女の桜ちゃんが、片思いの人にそんな事聞いてどうすんのよ。」

「すいません。」

「すいませんじゃないでしょ?……“すみません”でしょ?……敬語が間違ってるのよ。」



そこですか?!
突っ込む所そこですか?!


…まぁ、いいんですけれでも。



「はぁ。何よ?…あんたたち、喧嘩でもしたの?」

「う、ううん……。」

「ちゃんと口があるんだから、疑問を持ったことは素直に伝えてみるべきよ?

…それでもダメだったら、ちょっと考えもんね。」



伝える…か。



「ま、うまくいかない方がこっち側は有利になるから嬉しい話だけど。」



一言よけいな言葉を付け加えためいちゃんは、クスリと笑った。


「……頑張ってね。バカップルさん?」

「なっ…!!」


手鏡をしまっためいちゃんは教室から出ていってしまった。






< 213 / 236 >

この作品をシェア

pagetop