放課後は図書室で甘い時間を

「…好き何て…言えません…。」

ごめんなさい…先生。
分からないの。全然、分からないの。


「桜、ちゃん…。」


イヤだ…先生の切ない声はやだ…。

何かがつーっと頬をつたう。
…それは温かくて、しょっぱかった。


「…っ…うっ…ふっ…っ…」


嗚咽を我慢しても、声が薄くもれる。

どうしても、しっくりこないの。
好きじゃないと思うのに、それがしっくりこないの。

なぜか分からないけど、…涙が出てくる…。


「…桜ちゃん…?」

「…す、すいません…!!」


私は、袖で涙を拭いて、先生の腕から離れた。

胸がチクチクする…。
でも、涙を見られたくない…。

「…夕飯遅れちゃうし…っ…もう家に戻ります…!!」

そう言って、私は、玄関に手をかけた。

「…明日の放課後…来てね?」

先生の問いには答えず、振り返らず、私は、家のなかへと入った。




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