Y.T (忘れられない人)
倹約家の母が、
中学生になったわたしに与えた、
ま新しい制服はダブダブ過ぎた。
おまけに、
新しいスニーカーもぶかぶかしていて、
歩くごとにかかとが脱げる。
昨日、始業式が終わり、
授業が始まる今日。
早めに家を追い出されたわたし。
歩いて20分かかる中学校の通学途中。
前を行く、
同じ中学の先輩らしき4人組男子。
ぺったんこの学生鞄。
着崩した制服。
遠目にも、不良らしき集団。
彼らの歩みはとんでもなく遅いのだ。