《詩集》言いたいことはそれだけです
とける
『とける』
暖かい春に歓喜する人の
その隅で
冬は静かに去って行く
固体は液体に
液体は気体に
軋んだ木目も
ゆっくり馴染んで
するりと滑るように
見えないものへと
ゆっくり変わって
僕らにさよなら
地面にさよなら
世界にとけて空になる
暖かい春に歓喜する人の
その隅で
冬は静かに去って行く
固体は液体に
液体は気体に
軋んだ木目も
ゆっくり馴染んで
するりと滑るように
見えないものへと
ゆっくり変わって
僕らにさよなら
地面にさよなら
世界にとけて空になる