奇跡の歌姫【上】
「お菓子とジュース買って座ろう!」
水がかからない真ん中あたりに座って、大きな水槽を見下ろした。
開演まではいろんな話に花を咲かせた。
「おっ、始まった!」
イルカたちが泳ぎ回る姿に拍手を送りながら、ただただ見入っていた。
「では、会場の皆さんの中から、1組!イルカとの触れ合いを楽しんでもらいましょう!挙手をお願いします!」
お姉さんの声に、真っ先に答えたその人は私達のよく知る人だった。