ココロトタマシイ
「なんだよそれ。
話が違うじゃないか」


「馬鹿だなぁ、あいつは“武器を捨てないと殺す”と言ったんだ。
“離す”とは言ってない」


別の方からする声に振り返ると、刀を持った男がいた。

なんだこいつ……。

こいつは他の奴とは違う。

何が違うのかよく分からないけど、すごい威圧感を感じる。

おまけにすごくむかつく………。


「そういうことだ」


得意気に笑う奴に視線を戻すと。

彼女が何かを伝えようとしているのが見えた。

小さく動く口は。


    に

    げ

    て


ふざけたことを言い出す奴はもう一人いたみたいだ。


「………逃げるわけないだろ、ばか」


「ば、ばかってなによ!!南くんのばか!!!」


おそらく彼女は僕のことを心配して言ってるんだろうけど。

あいにく僕はこんな卑怯な奴に負けるほど落ちぶれてない。

僕は挑戦的な笑みを浮かべると、彼女の言うことを無視して問いかける。


「で?僕にどうして欲しいわけ?」


「は?なに言って……――」


「お前にはお礼をしないといけないからなぁ……」


「へぇ…」


まあ大体想像つくけど。


「魂もらう前に、お礼を受け取ってもらおうか!!」


その言葉と同時に、いつの間にか刀やら薙刀やらを持った奴らが一斉に飛びかかってきた。


「ずいぶん盛大なお礼だな」


小さく呟きながら、次々に刀を振り回す奴らを避けて蹴り飛ばす。

そうしている内に、テニスラケットやバットで殴りかかってくるのもいて。

あげくのはてに、楽器を使う奴までいた。

そうか、こいつらの持ってる武器って…。

全部部活の道具なんだ。


てことは――…。


「南くん!!
後ろっ!!」


「っ……!」


「南くん!!」


肩に突き刺さる鈍い痛み。

そうだ…うちの学校には弓道部がある。

飛び道具はかなり厄介だ。

後ろを振り返れば、もう一発僕を狙ってる奴が見えた。


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