ココロトタマシイ
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それはほんの一瞬だった。
彼が大きな鎌を一凪ぎすると、たくさんの人がバタバタと倒れ出す。
そして、彼らから浮き出た金色に光る球は、鎌を持つ彼の胸元へと集まって消える。
目の前のそんな光景に、私は言葉も出ず呆然と立ち尽くしていた。
「……またあんたか。
つくづくタイミングの悪い奴だな」
いつから気がついていたのか、後ろを向いたまま私に声をかけると、
彼---南くんは鎌を抱えたままゆっくりとこちらを振り向く。
その表情は少し疲れているようで、微妙に息が荒いように見えた。
それでもそれを隠そうと、表面上には不敵な笑みが張り付いている。
「僕のあとでもつけてきたわけ?
そろそろウザイんだけど」
「そ、そういうわけじゃ…」
口元は微笑んでいるが、その瞳は全く笑っていない彼に、若干の恐怖を覚える。
今の彼なら、何のためらいもなく私を殺すのではないか。
そんな不安すら感じた。
「だったら早くここから消えろ。
僕は今、機嫌が悪いんだ」