Voice
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「なあ、陸。」
「ん?なんだよ。」
「うちの学校の2年でさ、色素の薄いショートカットのおとなしめ系女子、知ってる?」
「なんだそれ。それだけじゃわかんねえよ。」
「だよなあ…。」
あまり見たことのない顔だった。リボンの色で同じ学年ということだけはわかった。
……なんで口パク?
「その子がどうかした?お前が女子に興持つなんてめずらしくね?クラスの女子の名前も知らねえだろ。」
「いや、やっぱ何でもねえ。」
「つうかお前モテるんだからさ、彼女とかつくっちゃえよ。一昨日も8組のかわいこちゃんに告られてたじゃん。」
「好きでもないやつと付き合えるかよ。」
正直、女は苦手だ。高い黄色い声とか、腹
黒そうな所とか。外見だけで、「好き」が言える意味がわかない。
「俺なら即OKなのに…!」
「じゃあ何で彼女いねえんだよ。」
「相手が寄ってこないんだよ!!!」
今はこうやって、陸と遊んでる方が楽しい。
でも何故か、その日の夜は
名前も知らないあの子の笑顔が頭から離れなかった。