Strawberry Candy
「なぁ、優斗……俺はまだ完全には前に進めてないみたいだな。今でも……今にもお前がいきなり現れそうで仕方ないんだよ」
お兄ちゃん……
気がつけば、瞳に涙が溜まっていた。
「やっぱりお前はすごいよ。こんなにも人を惹き付けるんだからよ」
瞬きをしただけで、もうこぼれそうで、必死に涙を堪えた。
「今さ、俺のそのせいで真白と喧嘩になっちゃって……これ以上本当に嫌われたくないからそろそろ許すよ」
それからお兄ちゃんは、また優斗としばらくしゃべっていた。
私はその姿を、ただ、黙って見ていた。
お兄ちゃんが「さて、そろそろ帰るか」と立ち上がって、慌てて隠れようとした時、
「煌輝さん」
お兄ちゃんを呼ぶ、由樹くんの声が聞こえた。