カッコイイオトコ
1.普通の彼が欲しいのです
「あれは?」

私の目の前にいる、胸元まである茶髪を綺麗に巻いた美人、沢木ハルカが視線を送るのは、サラサラの黒髪の、黒縁眼鏡をかけたオトコノコ。

「んー……」

私は口を尖らせて首を傾げる。

「じゃあ、あれは?」

ハルカが次に視線を投げたのは、栗色のふわっとした頭の、背の高いオトコノコ。

「んんー……」

私はまた渋い顔。

「じゃあ、あれ!」

テーブルに肘をつき、小さく指差したのは、笑顔の眩しい短髪の色黒のオトコノコ。

「んんんー……」

更に唸る私に、ハルカはイラっとしたようで。

バアン、と勢い良くテーブルを叩いた。

明るい陽の差し込む食堂で昼食を食べていた生徒たちが、驚いてこちらを見る。

「ハルカ、目立ってるよ~」

ちょっと焦って言ってみたけど、ハルカはまったく動じてないみたい。

「じゃあ、どんなのがタイプなのか言ってみなさいよ」

と、綺麗な顔を歪めて、ハルカは私を睨みつける。

そ、そんな、綺麗な人の怒った顔って、怖いんだけどー……。
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