カッコイイオトコ
「うん、そうだね。だって天童ハルヒコの好きな人って、マユだもの」

自分の巻き髪を指でクルクルしながら、ハルカは微笑んだ。

「……ほ、ほへぇっ!?」

思わず口から妙な叫び声が飛び出る。

また周りの生徒達の視線がこっちを向いたけど、それに目をやる余裕のない私は、顔を真っ赤にしながらテーブルを乗り出した。

「そ、そんなこと絶対にないよ!」

「あるわよ。ねえ?」

「うん。あるある」

ハルカとナオちゃんが視線を合わせた後、ニヤッと笑った。

「ホントは言わないでおくつもりだったけど~。そんな伏兵が現れちゃったんじゃあ、しょうがないなあ」

なんて前置きして、ハルカも身を乗り出した。

「マユ、昨日倒れたでしょ? 天童ハルヒコ、その直後にステージから降りたんだよ。良く気付いたよね? 自分はスポットライト浴びてるけど、客席なんて暗くて見えないでしょうに」

「しかも周りがマユが倒れたのに気付く前にだぞ。あたしだって気付いてなかったのに。なあ?」

「うん。だから聞いてみたのよ。『良く倒れたのに気付きましたね』って。そうしたら……何て言ったと思う?」

勿体つけるハルカに、ゴクリと唾を飲み込む。

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