カッコイイオトコ
ハルカはニヤリと笑いながら、私を見た。


「『ずっと見てましたから』……。だって」


どくん、と心臓が高鳴った。

ニヤリと笑うハルカに……いやいや、ハルカにトキめいているわけではないよ。

ハルカに『ずっと見てましたから』って言った……ハルヒコくんに。


「やったなマユ!」

バシン、とナオちゃんに背中を叩かれる。

「えっ、でも……見てたからって、好きってことには……」

だって、ハルヒコくんに好きになってもらう要素がまるでない。

見た目だって特に目立ったところはないし……。

初対面で派手に転んで、ピクニックでは盛大なおなかの音を聞かせて、

先輩のタカさんにはぶつかって迷惑をかけて、寝起きのボサボサ頭と酷い顔まで見られてるし、

おまけに『変わった人ですね』とまで言われてますが?

「そこが良かったんじゃないの?」

「ど、どこが?」

「飾らないところが」

「……物凄く間抜けなところしか見られてないのに?」

「だから、そこが良かったんでしょ」

ハルカの言うことにイマイチ納得出来ない私は首を捻る。
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