カッコイイオトコ
「しょうがないわね。証人を呼ぶか」

と、ハルカは携帯を取り出し、どこかに電話をかける。

「ハルカ……どこにかけてるの?」

訊ねると、ハルカはぷるんとした唇に人差し指を当て、にっこり笑った。

……かわいいな、ハルカは。

普段は美人だけど、何気ない仕種がかわいらしくて、周りをトキめかすんだ。

私にはそんな部分ないから、羨ましいなあって、いつも思う……。

「あ、もしもし、ハルカです。こんにちは。突然ですけど、今日そちらに行きますので。いいですよね? ……はい。ええ、じゃあ、練習の始まる前に、その喫茶店で。はい」

ピッと終話ボタンを押すハルカに、もう一度訊く。

「誰にかけたの?」

「タカヒロさん」

「……誰?」

「何よ、知ってるでしょ? 『グラポ』のドラムのタカさん」

「……え? タカさん!? なんでハルカ電話番号知ってるの?」

「昨日聞いた」

「昨日!?」

「私はマユみたいにいつまでもウジウジしないの。これと思ったら即行動、よ」

ハルカの行動力は昔から知ってるけど……。

……え?

つ、つまり、それって……。

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