カッコイイオトコ
見上げた私の目に、逆光になった彼の顔が映った。

後ろのやけに蒼い空が、パンクな彼にかなり似合っていないけど……。でも……私の心臓は飛び上がった。

……カッコよくて。

「すみません。呼び止められているのに気付かなくて」

と、私の腕を掴むとグイッと上に引き上げて、立たせてくれた。

あまりにも軽々と引っ張られて、ちょっとビックリ。

うわ……。

力、あるんだな……。

「立てます?」

「あ、はい」

捻った足首は少し痛いけど、歩けなくはないみたい。

「ああ、血が出ていますね」

「えっ? あ、ホントだ……」

右膝に、少し血が滲んでいた。結構派手に転んだもんね……。

男はキョロキョロと辺りを見回すと、歩道を彩る花壇の植え込みまで私を引っ張っていき、そこに座らせた。

「こんなものしかありませんが、良かったら使って下さい」

そう言って渡されたものは……。

クマのピーさんの、黄色い絆創膏だった……。
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