カッコイイオトコ
漫画のように見事腹ばいに寝そべった私は、慌てて身を起こした。

道行く人々がクスクスと笑ったり、驚いたような顔をしながら通り過ぎていく。

ああ……またやっちゃった……。

なんで私ってこう、ドジなんだろう~! 今日はヒールじゃないのにー!

「大丈夫ですか?」

サラリーマン風の若い男の人が、心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「あ、大丈夫です……」

その人に顔を向けたら、その後ろに、腰に手を当てて首を傾ける、ユカリさんの姿があった。

「貴女、一体何やってるの?」

呆れたようにため息をつきながら、私を見下ろしている。

声をかけてくれたサラリーマンの人は、ユカリさんが私の知り合いだと判断したのか、軽くお辞儀をすると駅の方へと歩いていってしまった。

「あ、あの、えっと……」

「とにかく、立ちなさい。通行の邪魔になってるわよ」

「あ、はい」

急いで立ち上がって、乱れたスカートを直す。膝からまた血が出ているのが見えた。

「仕方ないわねぇ」

ため息混じりにそう言うと、ユカリさんは私の手を引いて歩き出した。

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